太陽電池/鉛蓄電池の電源システムを自作する(1)

害獣検知システムのソフトウエア開発に携わったことがきっかけで、屋外でITシステムを動かすための電源システムの自作に挑戦することにしました。屋外でラズパイやラズパイPicoを動かすこと、非常時にスマホを充電すること、などを念頭に5V3AをUSBで供給できる電源デバイスを目指します。

スマホ1回充電分が最低限の容量と考えて、暫定的に蓄電池の容量を決めたいと思います。iPhone15のバッテリー容量は3877mAhとのことで、4000mAhを基準に考えてみます。本来バッテリー容量には電圧と電流と時間(つまり電力量)の情報がなければなりませんが、スマホのバッテリー容量には電圧の情報がありません。これはスマホの電源電圧が3.7Vと定められていることが理由のようです。すなわち4000mAh = 3.7(V) x 4.0(A) x1(h) = 14.8Whということになります。

最低限この電力量を蓄電できる蓄電池を採用します。さらに太陽電池からの充電なので電流や電圧が変動することを考慮する必要があります。モバイルバッテリーなどに使われるリチウムイオン電池は充電密度は高いですが下手に扱うと発火することもあるので、充電時の電流・電圧を制御する回路に神経を使う必要があります。一方車のバッテリーに使われる鉛蓄電池は多少ラフな設定でも変動する電流や電圧にそれなりに対応できるというメリットがあります。また、屋外に据え置きが前提なので多少重量が重くても問題ないですし、何より低価格であることが大きなメリットでもあるので、鉛蓄電池を前提に検討を進めます。https://toragi.cqpub.co.jp/wp-content/uploads/p068-1.pdf

鉛蓄電池は車のパーツ屋さんやホームセンターに売っています。電気容量の記載は12V9Ahのような記載がされています。12V9Ah=108Whですのでスマホバッテリー容量(14.8Wh)の7倍以上です。まずはシステム作りのためにLONG製の12V5Ah(=60Wh)を購入して検討していきます。(楽天で3000円弱)。このバッテリーのスペックは、

・定格容量:12V5Ah(容量は20時間率で計算されています)
・サイズ:横幅90mm×奥行70mm×高さ101.5mm
・重量:約1.83Kg

となっています。ここで気になるのが「容量は20時間率で計算されています」となっていることですが、これがどんな意味かと調べてみると、「バッテリーの容量の1/20の電流を放電し、放電終始電圧が10.5Vになるまでの時間と電流の積(アンペア・アワー[Ah])」とのことです。つまりこの場合は大体12V0.25Aの電流を20時間流せる、ということのようです。

鉛蓄電池からラズパイなどへの給電やスマホの充電ができるようにしたいので、12V電源を5Vに降圧する回路を組みます。LM2596 DC-DC降圧コンバータ(amazonで6個659円)を用いて5Vに降圧し、ラズパイPicoWで入力と出力の電圧を取得してAmbientサーバーにデータを送る簡単なIoTシステムをブレッドボード上で試作してみます。LM2596は降圧ターゲットが可変で、青いプラスチックについているネジを回して電圧を調整します。ネジは反時計回りが降圧です。入力電源を繋ぐと赤いLEDが点灯しますが、降圧側(反時計回り)に回していくとLEDの灯りが弱くなっていくので降圧されているのが確認できます。テスターで5Vに調節します。

入力と出力電圧の変化をPicoWで追跡します。PicoWの電源は降圧した5Vを使います。入力からGRDに40kΩで接続しGNDから10kΩの地点の電圧をADC1(32番ピン)で測定し、その電圧を4倍した値を入力電圧、出力からGNDに20kΩで接続しGNDから10kΩの地点をADC0(31番ピン)で測定し、その値を2倍にした値を出力電圧とします。これらの値を30秒に1回取得してAmbientに送信します。

なお5V出力はラズパイ3Bに接続します。通常の使用状況を想定して、wifiを使用してVNCでアクセスできるようにしておき、pythonのプログラムにて30秒に1回赤外線カメラ画像を取得・保存し続ける負荷をかけます。下図が電圧の変化です。

ラズパイ入力電圧の推奨範囲は4.75Vから5.25Vとのことですので、降圧後の出力が4.75Vを下回るまで観測を続けることにします。スタート時点(08:24)ですでに5Vを下回っていますが、本来は5.25V程度に設定すべきだったと思います。そういうわけで4.75V付近まで下がったところ(15:45)でLM3526を調整して5Vに上げて実験を続けています。

8:24にテスト開始。出力5Vに調整していたが少々低め。
5V出力が4.75Vに近づいたので、初期設定の電圧を5.25V程度でスタートすることをイメージしてLM2596を再調整(15:45)
12時間後のデータ。一旦ここで中断して翌日再開予定。20:20のところで5V出力が上がっているのはラズパイをシャットダウンしたことによる。

12時間後に一旦実験を中断し翌日持ち越し。12時間で入力電圧は11Vを切っているが出力電圧はまだほぼ5Vをキープ。出力が4.75Vを切るまで実験を続けます。翌日8:20に実験を再開しました。

入力電圧が8:50くらいに10Vを切り急激に電圧が下がっていきました9:10には6Vを切るところまで急激に低下しましたが5V出力は5V付近をキープし続けています。それでもそのあとは耐えきれずに一気に3.5V程度まで一気に低下。おそらくこの電圧低下でラズパイがシャットダウンしています(本来はソフトウエアシャットダウンしなければならないところです・・・)。というわけで、結局12V5Ah鉛蓄電池でラズパイを稼働できていた時間は12時間強という結果でした。

この結果、

  • 入力電圧は10.5V付近を下回ると急激に下がる。30分も持たない。
  • 出力電圧は、入力電圧が下がり始めても比較的安定。

ということが言えると思います。電源の制御としては入力側を監視するべきで、目安としては10.5Vを切ったらラズパイ等消費電力の大きいデバイスへの電力供給を停止するなどの設計を組み込んでいきたいと思います。

次回は、太陽電池パネルとの組み合わせでの充電を検討します。